マンション管理士の森です。宜しくお願いいたします。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例の解決策を見つけていきたいと思います。

今回も引き続き水関連の問題について考えてみたいと思います。

 

雨が降るとベランダや廊下に水が溜まることがよくあります。まして、玄関前に大きな水溜まりができたりベランダ内に大きな水溜まりができ、歩行に支障がある状態となり、何らかの処置をお願いしたところです。そのような状態を放置することは、マンションそのものの傷みも早まり財産価値を落とすことになります。また、水溜まりに足をとられ人身事故につながる危険があります。

 

廊下・階段は、共用部分にあたります。 ベランダは、どうでしょうか。専有部分ではなく共用部分です。同じ共用部分であっても、その部屋の使用者にいわば独占の使用権を認めた空間となっております。 したがって、このような水溜まりの解決にあたっては、その維持・保全・管理について責任のある管理組合に申し出て、その対策を図ることになります。

 

マンションのベランダや駐車場のように、敷地や共用部分でありながら、通常、特定の区分所有者だけが専ら使うことができて、その他の者は使うことができない部分を専用使用部分といい、専用使用部分を使う権利を専用使用権といいます。 専用使用部分の範囲は法律等で定められているわけではなく、個々のマンションによっても異なりますが、その例としては、駐車場、自転車置場、倉庫等があげられます。「専用使用権」「専用使用部分」という用語は区分所有法で使われていない用語であり、また、普段あまり耳慣れないような言葉でもあるので、国土交通省の標準管理規約(単棟型)ではそれらの用語について第2条で次のとおり定義しています。

 

第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

七 共用部分等 共用部分及び付属施設をいう。

八 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。

九 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。

 

なお、水溜まりの対策にあたっては、水溜まり一ヶ所を解決するためにその部分だけをモルタルなどにより高くするなどの補修をした場合、他の箇所に水溜まりが新たに発生することが多く、廊下全体またはベランダ全体の勾配をどうとるか、排水枡の位置等を計算する必要があります。そのために、完全な対策のためには広い範囲での施工を余儀なくされ、それに伴う多額の補修費が必要となります。管理組合は、限られた修繕積立金から優先順位を決め予算執行していることから、水溜まりの程度を軽くする部分的な補修で対応していることが多いようです。