マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎回テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。

過去2回にわたり「理事の選任問題」を、前回は「理事長職の権利・義務」について考えてみました。今回は「選任する理事の人数・任期」について考えてみましょう。

今回は解答を先にだします。管理組合の理事の人数や任期は、管理規約に記載された人数・任期による、ということになります。

まず、区分所有法のなかでその手がかりを探しますと、人数・任期について区分所有法は何もふれていません。具体的な人数・任期については管理規約により定めるところによります。管理規約自体は管理組合の総会の決議(特別決議 区分所有者及び議決権総数の4分の3)によって規約は設定・変更ができます。

したがって、戸数が50戸あるマンションの管理組合で、現在の理事の人数が4名のままでいいかどうか、この人数を増やすべきかどうか、あるいは逆に減らしてもいいかどうかといった問題は、すべてあなたの管理組合自身の考え方で決まることになります。

区分所有法は、分譲マンションそのものが多種多様の人で構成されている以上、それぞれの分譲マンションの管理組合もまた多種多様にならざるを得ないわけで、そうした様々に異なるマンションの管理組合の実情をふまえると、法律で規制せず、規約により自主的に制定するものとしています。

なお、多くのマンションでモデルとしている国土交通省の「標準管理規約」をみますと、第35条と第36条に役員の人数と任期について定めています。

[第35条関係]

理事の員数については次のとおりとする。

  1. おおむね10~15戸につき1名選出するものとする。
  2. 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○~○名という枠により定めることもできる。

[第36条関係]

  1. 役員の任期については、組合の実情に応じて1~2年で設定することとし、選任に当っては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
  2. 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。

この標準管理規約は、あくまでも一つの考え方を示す目安であって、実際にどういうふうに決めるかは、それぞれの管理組合の判断に任されているという点です。ここで掲載しましたのは単棟型標準管理規約の場合ですが、ほぼ同じ内容の条文が、団地型標準管理規約では第37条に、また複合用途型標準管理規約では第39条にあります。

任期については、1年としている管理組合が過半数を占めているが現状ですが、管理業務の継続性を考えますと、標準管理規約のように2年任期で毎年半数を改選するという方が望ましい姿であり、採用している管理組合も徐々に増加しております。