前回に引続いて鉄筋工事についてお話しいたします。

鉄筋は前回お話したように、ある力で引張られる事に対してそれに耐える役目を果たすという役割があると云う事をご理解していただけたかと思いますが、基本的にこの事を理解していれば鉄筋工事の管理するべきポイントが分ってくると思います。

ある力がかかった時に引張られる部分には鉄筋を多く入れる(鉄筋量を増やす)と共に、引張られる部分では鉄筋を繋いではならないと云う基本があります。

このように、鉄筋鋼材同士を必要な強度を保ちながら繋ぐ事は非常に重要な要素となってきます。

現在、一般的に日本で行われている鉄筋を繋ぐ方法(継手工法)としては以下のような代表的なものがあります。

  1. ガス圧接継手  
    →繋ぐ異形鉄筋を加熱しながら加圧する事により鋼材同士をつなぐ継手工法。
  2. 機械的継手
    <カラー圧着>
    →異形鉄筋の端部にスリーブ(厚肉鋼管)を挿入し、油圧ジャッキ等で絞り加工して異形鉄筋の節と節の間に食い込ませて一体化するて継手工法。

    <スリーブ継手>
    →異形鉄筋の端部に内面に凸凹のあるスリーブ(厚肉鋼管)を挿入し、スリーブと鉄筋の間に樹脂モルタルやセメント・モルタルで固めて一体化する継手工法。

    <ネジ形継手>
    →接合鉄筋端部にネジを取付けるかネジを切って、長ナットで接合する継手工法。

  3. 重ね継手
    →異形鉄筋の端部を法的に定められた寸法以上に重ね合わせて所要の引張り強度を確保する継手工法。

 

材料がきちんとしていても、鉄筋の組み立てが間違っていたら取返しがつきません。

鉄筋を組み立てる(配筋作業)時には十分な注意が必要ですので、代表的な確認ポイントを記載します。

  1. 鉄筋のかぶり厚(鉄筋からコンクリート外面までの寸法)確認(部位によって決められている)
  2. 主筋・副筋の上下関係の確認(引張り力に対して一番有効に力を発揮する鉄筋を主筋と云う)
  3. 鉄筋径・本数(数量)・間隔(ピッチ)の確認
  4. 継手位置と継手長さ又はガス圧接等の継手状況の確認
  5. 主筋の配置方向(XY方向)の確認
  6. 柱主筋の継手位置及び継手位置が交互になっているかの確認
  7. 定着長さ(鉄筋が引抜きの力に耐えられるようにコンクリートの中に埋込まれる長さ)の確認
  8. スラブ(床)筋の長辺方向・短辺方向の配置確認
  9. スペーサー(かぶり厚を確保する材料)の適正配置確認
  10. フープ(柱主筋が挫屈しないように補助する鉄筋)、スターラップ(梁主筋の剪断力を補助する鉄筋)の間隔確認