皆さんは、街を歩いていて囲いをしている建築工事現場を見ることが多々あると思います。その囲いの中で、一体どのようなことが起こり何をやっているいるのか?また現場監督さんと云われている人はどのような仕事をしているか?非常に気になり、知りたいと思っているのではではないでしょうか?

今回から、街中で見かける建築工事現場の囲いの中でどのようなことが行われ、どのような手順で工事が進んでいくのか建築工事現場の着工から竣工までの流れ、すなわち「建築工事現場のいろは」を掲載したいと思います。
実際の工事が開始される前から、工事現場の人達は目に見えないところで活動を始めております。

①準備工事

建築工事を受注(施主から建築工事を請負う)すると、本体工事に着手する前に色々な準備が必要となります。

建設工事を始めるにあたり、この建設工事の拠点となる工事現場事務所を開設します。(当然、作業員詰所・仮設トイレ・手洗洗面所・シャワー室等も合わせて計画いたします)全ての現地指示を出す本部となるわけですから、設置場所が重要となってきます。(事務所の賃借もあるので)

建築現場では、最初に設計図書で記載されている敷地が現地の敷地と整合されているかどうか境界杭の有無の確認、敷地寸法の確認、敷地と周囲の地盤高低差の確認等を行います。

敷地に接する道路・河川・用水路・湖沼等についても確認を行います。

その他に、上下水道・ガス・電気・電話架線・有線架線等及びその他の架線物・埋設物の有無の調査を行います。(場所によっては地下鉄線路敷・地下道路敷・鉄道線路敷・共同溝等もあります。)

近隣住民に工事着工の挨拶をするとともに、近隣に保育園・幼稚園・小中学校・病院・研究所及び精密計器取扱施設等の有無を調査し、事前に当該施設責任者へ工事概要等計画について説明をして了解をいただく。特に、通学路等については資機材搬出入計画も含めて綿密に説明し、了解していただく事が重要です。

この他にも、緊急時の対応として所轄警察署・所轄消防署・救急病院・上下水道局・ガス会社・電力会社・建設局道路管理事務所等、事前に工事の概要説明と緊急時対応の協力お願いしておくことも重要です。又、工事着工前には労働基準監督署への労務関係書類の提出・工事計画関係書類等の提出も必要となります。

工事現場運営の仕事としては、これらの他に安全・品質・工期・工事原価を確保するために社内外の関係者との綿密な協議が必要となってきます。これらを確保するための具体的なものが、安全計画書・施工計画書・工程計画書・施工図・実行予算書等であり、このような計画が工事着工前にしっかりとした計画としてたてられていなければ、結果として非常に重大な問題を引起してしまう可能性が出てきます。

以上、準備工事として実際の工事が始まる前に現場監督さんたちはこれだけの作業を抱えていると云うことを知っておくと、これだけの事を現場で聞くだけでその建設工事現場がどれだけ綿密な計画のもとに進行しているのかがわかってくると思います。

これらの準備工事が進んでくると、やっとのことで地鎮祭(起工式)となり建設現場敷地の中での動きが一般の人にも目に見えてくるようになります。