<更新手数料>(3)

(質問)

家主に支払う更新料以外に、管理会社から更新手数料の請求が来ました。

 契約書をみると、確かに「更新手数料が必要」という記載があった。

このような場合には、しかたなく更新手数料を支払わなければならないのでしょうか?

 

(回答)

 原則として、更新手数料は支払う必要はありません。

 しかし、契約書の中に、「更新手数料が必要」と記載されている場合には、 「通常、家主が支払うべき更新手数料を借主が代わりに負担することを認めた」と いうことになるわけですから、一般論としては、支払い拒否をすることはできないように見えます。

ところが、常識的には支払う必要がない費用を、「特約」として、 借主に支払いをさせるようにするためには、判例によれば、

「特約の必要性があること」、

「借主が特約の意味を理解していること」、

「契約段階で特約を結ぶことについて承諾していること」

などの事情がなければならないとされているのです。

 そうすると、まず、「特約の必要性がある」というような合理的理由がありませんし、借主が、特約の意味、すなわち、「本来、家主が支払うべきものを借主が代わりに支払うのだ」ということを認識していなければならないのですが、そのような理解をしていることはまれでしょうし、契約段階で、そういう説明を受けて承諾していることも滅多にないでしょう。

従って、契約書に「更新手数料の記載がある」としても、特約として認められるような事情がなければ、 特約として認められないということになります。

なお、2001年4月以降に結ばれた契約では、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項」に当たりますので、 このような規定は一切認められません。

 

<更新拒絶>(1)

(質問)

家主が「次回の契約更新はしない」と言ってきたが、泣く泣く出て行かざるを得ないのでしょうか?

(回答)

定期借家契約ではない一般の賃貸借契約の場合には、家主が、契約更新の拒絶を行うためには、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、家主が更新を拒絶する(退去を求める)「正当事由」が必要です。

家主が、「次回の契約更新はしない」と言ってきた時期が問題ですが、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」でなければ、「正当事由」をうんぬんする前に、主張そのものが認められないことになります。なぜなら、この期間は、借地借家法の強行規定に当たり、強行規定に反するものは無効だからです。

次に、「正当事由」がなければ、家主として更新拒絶することができないのですが、「正当事由」そのものは、非常に厳密に解釈されており、よほどのことがない限り、家主の主張どおりに認められることはありません。

「正当事由」に関しては、相談内容では一切触れられていませんので、家主に正当な事由があるかどうかもわかりませんが、理由を明らかにしていないところを見ると、そもそも正当な理由がまったくないのではないかと思われます。

いずれにしても、借地借家法の第28条によれば、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」とされており、家主が建物を必要とする事情と借主のそれとを比較したり、建物の使用状況、そして、家主が退去を求めるに当たって、財産上の給付、すなわち、立退き料をいくら支払うつもりなのかなどを総合的に考慮したりして、正当事由があるかどうかが判断されるのです。

従って、家主が、単に、「契約期間が終わったら出て行ってくれ」と言っても、従う必要は一切ないのです。

 

(サブリース問題研究会)