⑥型枠工事
皆さんは、型枠工事とは一体何をやる工事なのだろうか?と思っておられる事と思います。
型枠工事とは読んで字のごとく、液状のコンクリート(コンクリートは固まるまでは液状になっています)を流し込んで(現場ではコンクリートを打込むと言う)設計図に示された通りの外形を造っていく為の枠組みを行う作業行程です。
この枠組みが正確にできていなければ、コンクリート打設後コンクリートが固まった時にコンクリートはその組立てた形通りになってしまうわけですから、この組立状況の精度の良し悪しで建物全体の品質が決まってしまいます。
この型枠を組立てるにあたってその型枠に使用する材料について基本的の事をお話します。
昔は、桟木(角材)等でハシゴ状に骨組を造り、それに杉板等を打付けてパネルにしていました。(箱パネルと呼んでいました。)
現在の型枠工事の材料は、コンクリート用合板(現場ではコンパネと呼んでいます。)・アルミパネル(材料がアルミ材)・メタルフォーム(材料がスチール材)・樹脂パネル(強化樹脂繊維材)が使用されています。
基本的には、種々の細工を要求される建築構造物ではコンクリートベニヤが採用されるケースが多いです。
アルミパネル・メタルフォーム・樹脂パネルはコンクリートベニヤに比べて価格が高いですが耐用・使用回数が良いので、比較的形状(デザイン)がシンプルな土木構造物や特殊な表面要望の構造物に採用されています。
型枠を組立てる前には、重要な作業があります。
設計図では建物が完成した時点での図面となっておりますが、実際型枠を組立てるにはこの設計図では組立てできません。
建物を造っていくには基準となる中心線なり、仕上げ材の形状・寸法がきちんと計算されていなければ、後からコンクリートで柱とか壁が出来てきてから色々な物が納まらないと云う事になりかねません。
そこで、現場では仕上げ材の形状・寸法等(建具・家具・住宅設備機器等も含む)を考慮して施工(芯線図)を作図して、設計者の意図と整合しているか確認しあいます。この施工図を基本にして現場で型枠を組立てするわけですが、型枠はあくまでもコンクリートを打設した後の形をイメージして組立てるので、鋳物の鋳型と同じような凸凹のイメージ要領が必要となってきます。
この事から、現場で型枠を組立てる前に型枠の製作図によって事前に型枠を下拵え(凹の部分)しておきます。
このように現場で実際の型枠組み立てが始まる前には準備工事として十分な図面制作・計画と段取り・下拵えが必要となってきます。
この準備工事が建物全体の品質の良否を決めるポイントとなってくるので、しっかりと時間をかけてでも検討しておかなければなりません。
当然、コンクリートを打込む際の圧力(荷重)等もきちんと計画してそれらの力に耐えうる施工をしていかなければならないのは当然です。